2023-11-28
実家が空き家となる前に、ぜひ知っておきたい「家族信託」という制度があります。
家族信託は、認知症などの判断能力が失われてしまうケースに備えて、事前に信託契約をする方法で、空き家対策としても有効な手段といえるでしょう。
そこで、空き家が生まれる原因や、家族信託制度の概要とメリットについて解説します。
岡山県岡山市で空き家を相続する予定がある方は、ぜひ参考になさってください。
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近年は空き家問題が深刻化しており、2018年時点で1,000万戸を超える空き家が確認されています。
また、今後も空き家の数は全国的に増加するとみられ、2033年には空き家が2,000万戸となり空き家率は全体の30%となると予想されています。
では、全国的に増え続ける空き家ですが、そもそもなぜ空き家が生まれてしまうのでしょうか。
空き家が生まれる主な原因は以下の3つがあります。
それぞれの原因について詳しくご説明します。
空き家が増加する原因には、高齢者世帯の増加が関係しています。
内閣府の調査によれば、65歳以上の高齢者がいる世帯は平成27年において47.1%となっています。
つまり、約半数の世帯が高齢者となっているのです。
また、今後も高齢者世帯は増加すると予想されているため、空き家も増加するする可能性が高いと言えます。
子ども世帯の核家族化が進んでいることも、空き家が増える原因とされています。
現代では昔と比べ、子どもが親と同居して代々住み継いでいくことも少なくなり、子どもが新たな世帯を別の場所に持つことが多くなりました。
その結果、親が亡くなっても相続人が決まらず、結果的に空き家となってしまうのです。
所有者が認知症を発症し、その不動産が空き家のまま放置されるケースも珍しくありません。
認知症を発症し判断能力を失ってしまうと、不動産売却などをすることができなくなります。
たとえ、売買契約まで進んでいたとしても、契約は無効になってしまうため注意が必要です。
所有者が認知症を患ってしまうと、不動産を活用できず、放置するしかなくなってしまうのです。
またその後、相続が発生しても、話し合いが進まないなどのトラブルが生じ放置され続ける可能性もあります。
このように、所有者が認知症となったことが原因で、空き家となってしまうケースも少なくありません。
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増加傾向にある空き家の対策として「家族信託」の制度があるのをご存じでしょうか。
家族信託は、空き家対策として注目されている制度です。
ここでは、家族信託の制度内容と仕組み、家族信託が利用できないケースについて解説します。
家族信託とは財産管理制度の1つで、認知症などを患う前に家族に財産の管理や処分を任せることです。
親が認知症を発症してしまうと、その後家族であっても、売却や建て替えなど自由に活用することはできなくなります。
そのため、認知症など判断能力を失う前に家族信託を利用することが大切です。
家族信託を利用すれば、その後親が認知症を発症しても、家族が実家の管理や処分などを代わりにすることができます。
老人ホームの入居費や介護費用なども、家の売却費用から賄うことが可能です。
家族信託は、委託者、受託者、受益者の3者で構成されています。
それぞれの役割は以下のとおりです。
たとえば、親が子どもに実家の管理や運用を任せる場合は、委託者と受益者は親になり、受託者は子どもになります。
子どもに実家の管理を託したい場合は、判断能力を失う前に信託契約をしておくことがポイントです。
認知症対策としても有効な家族信託ですが、前述しているように認知症を発症する前に利用する必要があります。
認知症になってから家族信託を利用することはできないため注意しましょう。
では、なぜ認知症になってからでは家族信託の契約はできないのでしょうか。
それは、家族信託も「契約」により開始できる制度だからです。
認知症により判断能力がなくなった状態で契約を交わした場合は、契約自体が無効とされます。
家族信託も同様に契約無効となってしまうため、認知症になってからは利用することができません。
そのため、将来的に空き家になるリスクがある場合は、認知症のことも考慮し早めに対策をとることが大切です。
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成年後見人が不動産売却をするには家庭裁判所の許可が必要?流れと必要書類を解説
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ここまで、空き家となる原因や家族信託の制度について解説しましたが、ここからは空き家対策を家族信託でおこなうメリットについて解説します。
主なメリットは以下の3つです。
それぞれのメリットについて解説します。
1つ目のメリットは、家族信託では贈与税が発生しないことです。
委託者と受益者が同じである場合は「自益信託」となるため、贈与には該当しません。
つまり、親が委託者である場合、利益を受ける受益者も親のため、贈与とみなされず贈与税が発生することもないのです。
ただし、委託者と受益者が異なる場合は、贈与税が発生することがあるため注意しましょう。
2つ目のメリットは、家族信託により家族が受託者となれば、受託者の判断で実家を処分することができることです。
財産の管理を引き継ぐ手段として「成年後見制度」もありますが、成年後見人となった方でも実家を売却・処分するには裁判所の許可が必要になります。
その点、家族信託の場合は、受託者の判断だけで実家を売却したり処分したりすることができます。
たとえ、売却する際に委託者が認知症を発症していても、受託者の判断で売却を進めることができるのです。
成年後見制度のように許可を得る手間などが不要のため、空き家となる期間を減らせるメリットもあります。
3つ目のメリットは、数世代先の財産継承までを指定できることです。
遺言の場合であれば、被相続人の意思を反映することができるのは一次相続までです。
しかし、家族信託であれば、数世代先の孫やひ孫世代まで指定することができます。
そのため、実家が空き家として放置されるリスクを減らすことができるでしょう。
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近年の空き家問題に有効な手段として、家族信託が注目されています。
家族信託は贈与税が不要なほか、受託者のみの判断で売却・処分できたり、数世代先まで財産継承できるなど多くのメリットがあります。
ただし、家族信託は判断能力があるうちでないと信託契約することができないため、家族信託を利用したい場合は元気なうちに家族で話し合っておくことが大切です。
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